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『フリーダム ライターズ』 映画

昨晩遅くまで何やってたかというと、映画を観に行って居りました。

『フリーダム ライターズ』
すごく地味ですね。大きな映画館ではやってなくて、場所知らなかったから諦めようかと思ってたんですが人に聞いたらわかりました。そんな訳で夜分に観に行ってきましたよ。
これ、地味に面白かったです。


話の内容はですね、エリンという新米教師が学校に赴任してきます。でも彼女が受け持ったクラスは優等生クラスではなく、寧ろギャングと関連があったり、人種で敵対しあうクラスなのです。それを変えるためにエリンは一冊のノートを渡します。
それから変化していく彼らの話ですね。

では以下ネタバレ感想。本気でかなりネタバレです。要注意!



はっきりいってすごく地味な話です。
派手さはありません。しかも一人に焦点を当てるというよりは群像劇に近いので、苦手な人はちょっと敬遠しがちかもしれません。でもクラス内全員に焦点を当てているのが、逆に面白くて楽しかった。

日本でも人種間差別というのはありますが、町全体が侵されるほど大きくはないですね。だからその意味でもこれは面白かった。
黒人、ラティーノ、白人、東洋系。互いに互いを忌み嫌う。でも実は相手も同じだということを知らない。

白人の新米教師、エリン。赴任してすぐの彼女はクラス間での乱闘騒ぎやクラス内でも人種の国境があることに気付くんです。それを変えるために彼女が試行錯誤していく様、またそれに応えて打ち解けあう203教室の生徒たちがとても清々しい。
その切っ掛けとして生徒の一人、エバがいます。エリンに向かって自分のことを何も知らないと非難し、白人のことを知っていると断言します。知らないことと知っていること。それを互いに知らないということ。一個の人間としてみていけば、仲良くなれるはずなのに全体でしか見ていないんですよ。それは組織や集団しか見ていないってことで、結局知らないことなんですよね。

だからエリンがした事は、互いを知ることでした。
「ゲームをしましょう」
そういって始めたのは質問に答えていく単純なゲーム。始めは簡単な、軽い質問。しかし段々とシリアスに。「ギャングに友人を殺された人」がクラス内唯一の白人であるベン以外全員というのがとてもわかりやすい。個人的にドラッグを手に入れられるのが彼だけだったというのも驚きでしたが。身近な人の殺された痛みを相手も知っているのだと思うと、少し考えてしまいます。
エリン、彼女のすごいところは知る事の大切さを教えたことだと思います。アンネの日記を読ませたいと、結局読ませてしまうのもすごいんですよ。学力が追いつかないと科長に非難されても諦めず、学区長に嘆願してユダヤのアウシュビッツの真実を教える。自費で本を買い与え、見学旅行にもいかせる。そのバイタリティや凄すぎます。そして実際に体験した人の話を聞かせる。これはとてもいい経験になるはず。
生と死の間に生きている彼ら、身近に理不尽な生活を感じていても、迫害とは異なる。生きていていいんです。街を歩いてもいいんです。買い物に行っても、スポーツも出来るし、家から出ることも可能なんです。知ることさえしてもらえなかったことを考えれば彼ら203教室の面々はまだ分かり合える。同じ空間にいることが出来るのだから。

進級してからの彼らの行動は目に見えて変化しているのが気持ちよかった。はじめ一人しかいないということで、怯えていたベンが普通に他の面子と親しい行動をとるのがいいなあと思った。こういう時は指を鳴らすんだ、とか握手じゃなくて手を顔の横で握り合ったり。それぞれの習慣にも親しんでいっていることがいい。

物語の本題にもあるノートは、とてもリアルな彼らを見せてくれる。どうして今の自分になったのか。怖いこと、辛いこと、泣きたいこと、たくさんある。でも203教室に来れば忘れられる。ここが僕らの家だから。そう書いた一人の生徒に皆が共感する。
家、家族、それらを失った者が多くて、だからこそエリンに信じて付いていけるようになったのが感動的。

けれど不幸はエリン自身にも降りかかるんです。これがなかったらもっと薄っぺらな話になっていたかもしれない。彼女は結婚して、旦那もいて、仕事もとても遣り甲斐あって、満足してた。でも夫との生活の齟齬、意見のずれ、それが彼女には見えていなかった。
「誇りに思う」といった夫、スコットの言葉はきっと真実。でも彼女を支えていくことは出来ない。でも生徒の前では気丈に、前を向く。その姿勢が素晴らしい。落ちてしまうかと正直思ったけど、落ちない。めげない。浮上する。それがホント素晴らしい。
こういう先生欲しいと思うね。性差別に対しては男女に分けて互いに意見を言い合わせたり、読書感想文と称して実際に居る人に手紙を渡したり。行動が出来る彼女が清々しい。
ラティーノの仲間から裏切り者と罵られても、クラスには別の仲間が居るエバもよく頑張った。エバがこの話は一つの支柱になってますが、彼女の立ち向かう姿がつらくて。板ばさみの憤りと、後悔と迷い。でも最後には真実を告げる。それがすごく格好良くて好きだ。

この話、全体的にうまくまとまってて、見ごたえもある。真面目なテーマなのですが、半ばあたりからも本当に面白い。暗くなりすぎず、色々考えさせられて、私は好きでした。
個人的にEDが三種類くらいそれぞれの特徴的な歌で構成されているのも面白い。

観に行った甲斐がありました。

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